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帰郷
01:34
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君になれるなら
04:03
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小さな水槽 君だけだった
美術室には伸びる影
「何が見えてた？」
バイト中浮遊する一幕
"小さいころから憧れていた大きな夢"とか
月並みなセリフ吐ければ、幾分かまだマシとも言える
「海の中ではありふれた絵描きの一人だ。」
想像してる 君なら変わったのかな
あぁ、少しだけ君になれるなら
思うほどくすんでく春模様
初めから抱かなければ、どうせなら何もない腕を
呪い（まじない）はすぐに消える
今は一人狭い部屋で、埋める独り愁い
世界は単純で鳴けば売れるのさ、それさえできない私はなんだ
「海の中では"まじない"は"足枷"と同義だ。」
想像してる 辞めたら楽になるのか
あぁ、少しだけ君になれるなら
思うほどくすんでく春模様
「誰でもない、あなたが描くから。」
どうしても消えない台詞 君はもういない
溶けた不香の花に虚ろな君
「どうでもいいよ。」
"見えたもの"がなんであれ
笑ってほしいよ、選んでいいんだよ
足りないんじゃない、足りてるとかそんなんじゃない
量れないもの
この呪いも、売れない腕も、愛せるその日が来るなら
あぁ、少しだけ君にさよならを
枯れるほど、何度でも、叫ぶよ
誰でもない私が描くのだ 誰もいない小さな水槽
大海に沈んでく
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3. |
Taboo!!
03:46
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Hello!! How are you?
今日も右へ前倣え
See you! Goodbye!
なるべく列は乱さない
貴方と私はお友達
年上の人は敬おう
どうでもいいさ
他人同士嫌えばいい
選ぶのはキミ一人
「変えてほしいの！」
ぶっ刺して私のこと
壊して あなたがいいの
ロックン・ロールはまだ鳴り続ける
ぶっ刺して私のこと
聴かせて あなたがいいの
「さぁ、歌え！」
流行のバンド ラッキーガール スイーツ
「十人一色、ダイセイカイ」
貴方と私は腐れ縁？
先生のことは疑わない
あなたひとり
言葉一つくれればいい
壊すのは一瞬だから
「言ってほしいの！」
ぶっ刺して私のこと
壊して あなたがいいの
ハートビートはまだ高まっている
ぶっ刺して私のこと
聴かせて あなたがいいの
「さぁ、踊れ！」
ぶっ刺して私のこと
壊して あなたがいいの
ロックン・ロールはもう鳴り止むから
ぶっ刺して私のこと
聴かせて あなたがいいの
「さぁ、鳴らせ！」
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4. |
開花予想
04:34
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いらないものはいつも簡単に分かるのに
いらないもので誤魔化した
遠くで響くチャイム 人通りは多い
放射状に延びる商店街
耳を塞ぐ流行り 閉店セール
ただ日常が一つ終わる
せぐ想い思い出して また薄れる
緩い斜陽に微睡む 明日が滲んでく
ずっと このままずっと蓓のままで
ずっと この先ずっと未来を待つ
呼吸をする"長く"それだけ 金だけで満たされるのなら
頭では言葉だけで足りてるのに
遠くで響くサイレン ため息の合掌
駅前で佇む 怪物の群れ
耳で響く故郷 シャッター通り
ただ擦り切れるヒトの皮
ずっと このままずっと蕾のままで
きっと この先きっと咲くだろうから
平凡が困難な贅沢品だと知っている
でも、焦れてきた日々を満たすものか
きっと 今よりきっと開花予想は
きっと もうきっと咲くだろうから
放課後にいる莟の私へ
「ありがとう、もうおやすみ。」別れを告ぐ
花弁舞う なつかしさ響く
頬染め笑ってる気がしたんだ
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5. |
その日、春を売った。
03:28
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駅前を抜けてすぐの駐輪場 ここまでのレース
今は歩きで何も失くさないように進もう
曖昧な言葉が響くのは心臓（ここ）にキミがいる証
それを信じない私を変えたのは散りゆく桜
約束を、指切りを果たそう。
象のいる公園 橙の列車 ６年ぶりだった
もういっそ 馬鹿になって、全部投げ捨てて
戻りたい 戻れない 戻りたい
怖いよ 怖いよ 交わした言葉
曖昧な言葉で揺れるのは心臓（ここ）にキミがいる証
それを信じれる私が居るのは散りゆく桜
約束を、指切りを果たそう。
夕暮れ 教室 伸びる影に重ねた
独りのホーム ハイカラを捨てたんだ
ひらひら舞い落ちた数ある花びらなんかじゃない
ひらひら舞い落ちた...
確かな約束が響くのは心（ここ）にきみがいる証
それを信じれる私が居るのは信じてくれたから
またね
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6. |
第二章
02:06
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7. |
夏は色めく。
03:53
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「簡単に色褪せない。」
それは"素晴らしいこと"だろうか？
そうなら、「消えない呪い(のろい）だな。」なんて口にしないでよ、そうぼやく
タイマー 飲みかけのサイダー 絵筆を揮う
大抵の人にとっては花火のように一瞬で、咲けない理由探しだ
火花はすぐに消える
それでもいいのだ、私が良いのなら
例えばこれで死ぬわけでもないのだから
「簡単に手放せない、"それだけのもの"がある。それで良い。」呟く
グラウンドには青 誰もいない校舎を歩く 昼下がり
きっと時効を待っている 煙草の匂い
大抵の人のフリをして、それでも生きるあなたに最低な言葉を並べた
瞼は閉じてるのに、焼き付いて消えない
「音楽辞めて未練がないわけないよ。」そう言って笑った。
"色褪せない"と思った。
夕暮れ染まった教室で誰も知らない絵を描く
届けばいいな 届くといいな
きっと、たかが一生の三年ですべてが決まるわけないから
透明な莟で構わない 今に夏は色めく
吹き抜ける音は悠 カーテンが揺れている
呪い（まじない）ひとつかけてみる
「あぁ、夏だ。」
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8. |
第五章
01:34
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9. |
悪い癖
04:02
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「来世はここがいい。」
「海が見える街なんだ。」
「そうだ知ってる？」
「人生は23億回心臓が揺れる。」
「現世はもう満足ですか？」
「海なんて飽きるでしょ、すぐに。」
「じゃあ揺れない分、私が揺らしてあげましょうか？」
病室で揺れ動く花は、今日気付けば一輪だ。
足早に街中が灯る、夜が近い
電波越しに見える、波の音、どんな顔で話しているか
伝わるんだ
「さよならはもういいか、そういえば...」って誤魔化す、"悪い癖"
それでもさ、伝わるんだよ。本当なんだ。
「流石に寒いね。」
「当たり前、でどこです？」
「そういば、初めて入る。」
「もうすぐ着くので待てますか？」
「そうだ、知ってる？」「またか、えーと」
「人生の価値は何を残せたか」
「って嘘でしょ」「って話？」
残したものが通り魔のように刺すから
思い出、望み、全てが人を縛るから
来世越しに見える、波の音、どんな顔で生きているのか
分かるんだ
「さよならはもういいよ、どこなの？」って聞くから
"悪い癖"、気丈に舞う
電話で良かった、頬を伝う
始発に懸ける、4月に駆けた海岸線
潮風、2月、人影ない浜を睨む
通話越しに見えた朝焼けの海
同じ空を見てればいいな
返事はもうない
「またね。」と一言笑っていた
最低な"悪い癖"
泣いたのは伝わるんだよ、頬を伝う
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10. |
サイノメ
03:18
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「願えば叶う」「諦めないでね」
それにしても、
ずるい言葉ばかり
夢、希望等その全てギブアップ
他人（ひと）に期待
所詮、無論あっという間に
来世に期待
"才能がない、あんたのせいです"
薄めた幸福で紛らわせる
かく言う私も
いっそこのまま揺蕩う ゆらゆら溢れて
無能な大人に仲間入り
ずっと小さな幸せも知らないのに
サイノメの通り 神のまにまに
自分には何もないことを
君が持つ才能が示している
いっそこのまま誇れ ゆらゆら零れた
心も才能もすべて、全部
きっと信じることだけが苦しいから
サイノメの通り？
何を乞う？
いつか思うのだろう
夢の答えが"才能"であると
辞める理由になるまで
描き続ける 足掻き続ける
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11. |
一輪の花束
04:22
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花見祭りは今はもうない
残る木々だけ寂しく揺れる
開花予想は少し遅い、七度目の冬 二月
変わるは歳の分だけ
人の名も、街も、関係も
当たり前に大人になるから、いつか忘れるのだろう
ずっと並ぶ出店に、病室、描くいつかのこと
きっと変わらないものは見えないから
散るなこの想いは雪が春に夢見たもの
白い花が私に見た未来だけが本物だ
いつか交わしたその言葉はシトリンのピアス 絶えず揺れる
何を話せた？何ができた？ 痛いことだけ覚えてる
いつかを夢に見ていた 願掛けに描く未完成
言葉はただの入れ物なんだ 石言葉"だけ"忘れた
すっと背丈が伸びて記憶が思い出になっても
きっと伝わったものは言葉じゃない
心だ
"描く"この想いがいつか人を変えるのなら
夏に秋に冬に抱く心だけが本物だ
もう、放課後の美術室も象のいる公園もない
思い出だから、形あるから 何度だって呼んで、忘れないように
不香の花は散り始めた
「またね。」と笑い花が揺れる
開花予想はきっともうすぐ
七度目の春 三月
散るな、描け、この想いは白い花に誓ったもの
春に咲いた私だけが、心だけが本物だ
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